平成29年度税制改正大綱で配偶者控除はどうなった

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先日、配偶者控除について、以下の記事を書きました。

配偶者控除の見直しはダレトクなのか?

2016.11.25

昨日、平成29年度税制改正大綱が決定しましたので、配偶者控除、配偶者特別控除がどうなったのか、書いてみます。

税制改正の基本的な考え方

税制改正大綱は、139ページにも及びますが、はじめに、「平成29年度税制改正の基本的考え方」が書いてあります。

この中から、気になった点は以下の3点です。

1点目は、安倍内閣になっての4年間で、雇用・所得環境は大きく改善していると書いてある点です。

確かに、書いてある通り求人倍率は高水準、失業率は低水準、賃金引上げ率は最高水準なのかもしれません。

しかし、このことを実感出来る人がどれだけいるでしょうか。実感としては、大きく改善しているとは言えないのではないでしょうか。

2点目は、配偶者手当制度等を有している企業に対しては、見直しを行うことを強く要請すると書いてある点です。

この点については、わたしは上記リンク先の記事でも触れていましたが、政府が配偶者手当の見直しを強く要請するというのには驚きました。

配偶者手当も、女性にとっては、働くことへの壁になっていることは事実だと思います。

これを機に、配偶者手当から子供手当のようなものに変わっていくのかもしれません。

3点目として、「社会保障制度などの関連する制度・政策における取組みが重要である」と書いてある点です。

この点についても、上記のリンク先の記事で書いています。

社会保険の壁がある以上、所得税の壁だけ取り除いても効果は薄いでしょう。

前置きは長くなりましたが、配偶者控除、配偶者特別控除がどうなったのか、書いていきます。

配偶者控除

まず、大きく変わった点として、合計所得金額が1,000万円を超える人は、配偶者控除を受けることが出来なくなります。

今までは、何千万円稼いでいようが、配偶者の合計所得金額が38万円以下(給与収入では103万円以下)であれば、配偶者控除を受けることが出来たのですが、改正になります。

合計所得金額1,000万円が高いか低いかという点は、人によって感じ方が違うでしょうね。合計所得金額が1,000万円というのは、給与収入で言うと、1,220万円です。

合計所得金額が900万円以下であれば、配偶者控除の控除額は、今まで通り38万円。老人控除対象配偶者も今まで通り48万円。

合計所得金額が900万円超950万円以下の場合の控除額は、26万円。老人控除対象配偶者の場合は、32万円。

合計所得金額が950万円超1,000万円以下の場合の控除額は13万円。老人控除対象配偶者の場合は、16万円となります。

900万円から1,000万円までは50万円刻みで、控除額が変わることになります。

配偶者特別控除

配偶者特別控除は、今までも合計所得金額が1,000万円超の場合は受けることが出来ませんでしたので、その点は変わりません。

こちらも、配偶者控除と同じく合計所得金額が、900万円以下と900万円超950万円以下、950万円超1,000万円以下の3段階で、控除額が変わります。

目立つところでは、合計所得金額が900万円以下の場合は、配偶者の合計所得金額が85万円(給与収入では150万円)以下まで、控除額が38万円になるという点です。

配偶者の給与収入が150万円まで、控除される金額が配偶者控除と変わらなくなります。

ちなみに、配偶者特別控除の場合は、配偶者が70歳以上でも控除額は変わりません。この点は、今までも同じです。

給与収入が103万円超150万円以下の場合は、配偶者控除ではなく、あくまでも配偶者特別控除ですが、金額は38万円で変わらないということです。

配偶者特別控除の金額については、細かくなりますので、ここでは触れないこととします。

まとめ

今回の配偶者控除、配偶者特別控除の改正は、平成30年度分の所得税から適用される予定です。

この改正で、女性が働きやすくなるかは疑問ですが、そういう方向は向いていると思いたいです。

今後は、社会保険と合わせた改正も望みます。

来年からは、基礎控除をはじめとする人的控除の見直しも始まる予定です。

国民みんなが、前を向けるような制度になるように期待しましょう。

【編集後記】

今日の記事が、ブログを開始して199記事目です。

明日は、200記事目になりますので、その点について書いてみようと思います。


 

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。