法人成りを検討する節税以外のポイント

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フリーランスの人であれば、そろそろ所得税の税金の計算が終わる頃で、税金が高いなぁと思っている人も多いのではないでしょうか。

会社にした方が税金が安くなるみたいだから、法人成りしようかなと考えている人もいるでしょう。

しかし、法人成りを考える際には、税金面の他にも、重視して考えなければいけないことも多いです。

現在の所得税と住民税の税率を把握する

確定申告書の作成ができているようでしたら、申告書の右上の26番、課税される所得金額の数字をみて、以下の表で税率を確認してみましょう。

課税される所得金額所得税の税率所得税と住民税を合わせた税率
195万円以下5%15%
195万円超 330万円以下10%20%
330万円超 695万円以下20%30%
695万円超 900万円以下23%33%
900万円超 1,800万円以下33%43%
1,800万円超 4,000万円以下40%50%
4,000万円超45%55%

所得税は超過累進税率といって、所得が高ければ高いほど税率が高くなります。

しかし、高くなるのは全体に対して税率が高くなるわけではありません。

例えば、課税される所得が700万円だとしたら、税率23%が適用されるのは、695万円を超える5万円の部分についてのみです。

700万円の全体について、23%の税率がかかるわけではありません。

ここは、勘違いをしないようにしましょう。

住民税は金額に関係なく一律に10%です。

中小法人の税率は、所得金額が800万円以下の部分については25%程度、800万円超の部分については、35%程度です。

したがって、所得税の課税される所得金額が、900万円超の人は法人との税率差がかなりあるように見えます。

しかし、695万円以下の人の場合は、法人との税率差という点では、法人成りのメリットがあまりないようにも見えます。

ここまで読んで、「なんだ!法人にする意味ないや。」と思った人もいるかもしれません。

しかし、法人成りを考える理由は他にもあるのです。

税率以外の法人成りのメリット

1.法人の方が信用度が増す

一概に法人だから信用度が増すというわけではありませんが、一般的には、信用度が増すと言ってもいいでしょう。

取引先が法人でないと取引しないということもありますし、金融機関の融資も法人の方が受けやすい場合もあるでしょう。

人を採用する場合も、法人の方が採用しやすいです。

2.法人の方が、経費にできる範囲が広い

個人事業では経費にできないものを法人では経費にできる、あるいは法人の方が多く経費にできるというものがあります。

例えば、個人事業では自分に出張手当を支給することができません。

しかし、法人であれば、出張旅費規程を整備することにより、出張手当を支給することができます。

出張が多い人の場合は、結構な金額になります。

また、自宅が賃貸の場合、法人であれば、社宅として法人契約することにより家賃の多くの部分を経費に計上することができます。

法人の方が経費にできる範囲が広いというのは、人によって様々です。

人によっては、法人にしても、経費にできる範囲がほとんど変わらない場合もあります。

自分が法人成りした場合に、どのくらいの経費が増えるのかを考える必要があります。

まとめ

課税される所得金額が、900万円超の人は、法人成りすれば、税金面での効果がそれなりに期待できるでしょう。

900万円以下の人については、法人にした場合に、経費に計上できる金額がどのくらい増えるかで大きく変わります。

法人にしたら経費に計上できるものは、人によってかなりの差がありますので、一概に法人の方が有利とは言えません。

多くの場合、法人成りを考える理由は、税金の面よりも、今後どうしていきたいかが一番大事ではないでしょうか。

会社にして、社長として経営したい、会社を大きくしたい、人をどんどん採用したい、というような経営のビジョンがある人は、積極的に法人成りをしたほうがいいと思います。

しかし、個人事業でも商売に影響がない、規模を求めない、人も雇わないという場合は、少し落ち着いて考えましょう。

法人にした場合は、経理や事務の負担が増えます。

経理の人を雇ったり、税理士と顧問契約をすると、コストも増えます。

税金が減るメリットと、手間やコストが増えるデメリットを十分に検討する必要があります。

しかも、5年後、10年後まで考えたほうがいいです。

一旦会社を設立して、数年で辞めてしまうようでは、法人成りをしないほうがいいでしょう。

税金の計算をする時期ですので、法人成りを検討する人も多いのではないかと思い、記事にしてみました。

法人成りの判断は、個別要素が強く反映されますので、一般的な要素だけでなく、自分にとってどちらがいいのかを十分に考えるようにしましょう。

【編集後記】

最近は、風の強い日が多いですね。

今日は雨が降ったからいいのですが、畑の土が乾いていると、砂が凄く飛びます。

先日の風の強い日に畑の近くを車で通ると、砂が車に当たる音が凄かったです。

修理のときに、せっかく車を綺麗にしてもらったのに、砂まみれになりました。


 

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。