不動産投資において、減価償却費が魔法の経費のように語られる件

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先日、不動産投資に関する誤解として、以下のような記事を書きました。

不動産投資に関する誤解 リスクは小さくないし家賃収入も安定している訳ではない

2018.03.30

不動産投資をすすめる人たちは、色々な方法で不動産投資が儲かるということをアピールします。

その中で、減価償却費がまるで魔法の経費かのように語られることもあるので、今回はその件について書いてみます。

減価償却とは

建物や車両などは、時の経過によって価値が減少していきます。

このような資産を減価償却資産と言います。

土地は価値が減らないと考えられているため、減価償却資産には該当しません。

個人的には、土地の価格もごく一部の地域を除いて下がっていくのではないかと思っているので、下記のような記事も書いています。

土地についても減価償却費を計上できるようにしたほうがいいのではないか

2016.08.17

話を元に戻しますと、価値の減少が長期にわたるような資産の場合は、一度に経費にするのではなく、その資産の耐用年数に渡って経費にしていくということです。

例えば、耐用年数が22年の建物を2,200万円で取得した場合は、取得した年に2,200万円を経費にするのではなく、毎年100万円ずつを減価償却費として経費に計上していくことになります。

22年間、毎年100万円の経費が発生するということです。

なぜ減価償却費が魔法の経費になるのか

減価償却費の特徴は、お金の動きと経費になる時期が違うということです。

2018年に建物を2,200万円で購入すると、2018年にお金を2,200万円支払います。

しかし、経費になるのは2018年から2039年にかけて、毎年100万円ずつ経費になります。

2019年から2039年については、お金を支払わずに経費が毎年100万円ずつ計上されます。

お金を支払っていないのに、経費が計上されて税金が減るという、魔法のような経費の誕生です。

しかし、これだけでは魔法の要素は弱いです。

そこに、中古の建物を買い、さらにその物件の収益を赤字にすることで、魔法の要素がどんどん強くなります。

建物は中古で買うと耐用年数は短くなります。

新築から15年経過した建物を買うと、耐用年数は10年になります。

建物の取得価額を先ほどと同じ2,200万円とすると、10年に渡って220万円ずつ経費になるということです。

他にも物件を持っていて、その人の税率が50%だとすると、新築ではなく中古を買うことによって、減価償却費が年120万円増え、税金が60万円減少することになります。

どうでしょうか、お金が出ていかないのに減価償却費という経費が増えて税金が減少するのです。

魔法みたいではないでしょうか。

実は魔法でも何でもない

実は、魔法でも何でもありません。

お金を支払っていないと言いましたが、実際は購入時にお金を支払っています。

購入時に借入で支払っていたとしたら、その後毎年返済としてお金を支払うことになります。

お金を支払っていないのに減価償却費という経費が計上できるわけではなく、お金を支払った時期と経費に計上する時期が異なるだけです。

基本的には支払った金額と、減価償却費として計上できるトータルの経費は同じ金額になります。

繰り返しますが、魔法でも何でもありません。

赤字になるケースでも同じようなことが言えます。

先ほど、「税率が50%だとすると」としれっと書きました。

税率50%が適用されるのは、所得が数千万円といった人です。

普通のサラリーマン大家さんでは、そこまでの税率になる人は少ないです。

これも最近読んだ本で、「税率を50%とすると」と当たり前のように書かれていたので、しれっと書いてみました。

そこには、どのくらいの所得のある人が税率50%になるのかも書かれていませんでした。

もし、住宅ローン控除などで所得税が0になるようなサラリーマン大家さんが、不動産投資で赤字になったとしても、節税効果はないと言っていいでしょう。

自分の状況に当てはめてきちんとお得なのかどうかを確認する必要があります。

そして、先ほど書いたようにトータルでは支払ったお金と同額の経費が計上されます。

支払ったお金が経費に計上されるのは当たり前なので、減価償却費が魔法のような経費でないことは明らかです。

もちろん、条件が合えば、節税効果が得られたような錯覚に陥ることもあります。

物件を複数持っていて、一つの物件が多額の減価償却費でマイナスの場合と、物件が一つでその物件が赤字の場合では状況が異なります。

多額の給与があって税率50%が適用されるとします。

物件は一つで、減価償却費を計上して不動産所得が赤字になったとします。

この場合、赤字の50%分は税金が減少するかというと、そうとも限りません。

土地建物を借り入れで購入している場合には注意が必要です。

借入金の利息は経費になりますが、不動産所得が赤字の場合で、土地取得のための借入金利子がある場合は、その分の赤字については他の所得から控除できないということになっています。

このことに全く触れていない本や記事もあるかもしれませんので、注意してください。

まとめ

不動産投資に関する本や、インターネットの記事では、不動産投資をすすめていることが多いです。

こういった本や記事の場合、不動産が売れることによって利益を得る人などが書いている場合があります。

ですから、さぞ減価償却費が魔法の経費のように書かれていることがあります。

減価償却費は魔法の経費でも何でもありません。

自分が支払ったお金が、期をまたいで経費になっているだけです。

この点について、勘違いをしないようにしましょう。

不動産投資は、一つ一つの金額が大きくなります。

一度の失敗が命取りになることもありえます(もちろん、実際に命がとられる訳ではありませんが)。

不動産投資をやる際は、しっかりとした知識を身につけてから行うことをおすすめします。

【編集後記】

国税庁のホームページがリニューアルされて色々と話題になっています。

このブログでは、外部へのリンクはなるべくしないようにしています。

国税庁へのリンクも、おそらくなかったと思います(もしかしたら、1つくらいはあったかも)。

外部へのリンクはこういったことが起こるかもしれないということは覚えておいた方が良さそうですね。


 

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渡邉 朝生
1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。

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1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。