経費の前倒しによる節税は無駄遣いにつながりやすいので注意が必要

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経費の前倒し計上は、その期の税金を減らす効果はある

4年落ちの中古車を買うと節税になると聞いたことはないでしょうか。

4年落ちの中古車を買うと、1年でほぼ全額経費に出来てしまいます。

減価償却費は月割りしますので、期末に買うと、経費になる金額は極端に少なくなります。

しかし、期首に買えばほぼ全額がその期の経費になり、半年経過後に買えば半額がその期の経費になります。

ほぼほぼって、ソフトバンクのCMみたいですが、簿価が1円残りますので、ほぼと言っています。

例えば、当期の期首に500万円の利益が見込まれるとします。

500万円の利益では税金が高くなるから利益を減らしたいと考えます。

そこで、本来は翌期首に買い替えようと思っていた車を、前倒しして、当期の期首に3,000,001円の4年落ちの中古車を買うこととします。

そうすると1円を残した300万円が当期の経費に計上され、利益は200万円に減少します。

法人税の税率を25%とすると、75万円の節税になったことになります。

確かに、当期の税金は減りました。

当期の税金が減ったからと言って、果たしてこれで良いのでしょうか。

この中古車を4年使うとします。

翌期はこの中古車にかかる減価償却費は0です。

前期で中古車の帳簿上の価値はほぼなくなっているからです。

翌期以降も500万円の利益が見込まれるとしたら、前期の税金が減っただけで、翌期以降の税金が減ることはありません。

しかも、300万円のお金を支払って75万円の税金が減っただけです。

当初の予定通りに翌期首に4年落ちの中古車を300万円で買えば、当期の税金は変わりませんが、翌期の利益がほぼ300万円減少します。

2年間のトータルで考えれば、支払う税金は同じということになります。

物を買う節税はあくまでも、当期の税金を減らす一定の効果があるに過ぎません。

経費の無駄遣いにつながる恐れがある

先ほどと同じように中古車を例に取ります。

買った時は中古車を4年乗るつもりでした。

しかし、4年目の期首に、4年目の利益が多く計上されそうだということになったとします。

そこで、「じゃあ、車も3年乗ったし、買い替えるか」と、ついつい思ってしまいます。

500万円の利益が見込まれるとして、期首に300万円の中古車を買い、75万円の税金を減らします。

そして、買い替えて4年目の期首にまた利益が出そうだからと言って車を買い替えます。

本来であれば、4年乗ろうと思っていたのに、目先の税金を減らすため、いつの間にか買い替えのサイクルが3年になってしまうことになります。

仮に、この状態を12年間続けるとすると、3年で買い替えた場合は、4台の車を買うことになります。

4年で買い替えた場合は、3台の車で済みます。

12年間で車の購入費用は、3年で買い替えの場合で、1,200万円、4年で買い替えの場合で、900万円です。

この12年間で支払う税金は、3年で買い替えの方が、75万円少なくなります。

しかし、お金は4年で買い替えた方が、225万円多く残るのです。

普通に考えて税金を多く支払ったとしても、お金が225万円多く残る方がいいですよね。

中古車を買えば、確かに買った期の税金は減ります。

しかし、そういった習慣が身についてしまうと、買い替えのサイクルが自然と早くなり、結果として残るお金が少なくなってしまいます。

まだ十分に使える車を買い替えることは無駄遣いに近いものがあります。

車に限らず、色々なものにも同じことが言えます。

文房具や備品もまとめて買うことがあると思います。

しかし、あまりまとめて買い過ぎると、管理が雑になり、結果として紛失したり、劣化したりといった無駄にもつながりやすいです。

節税のための無駄遣いにならないように注意しましょう。

ただし、パソコンの場合は検討の余地があります。

技術の進歩が速いですし、処理速度が遅くなると、仕事の効率が落ちるからです。

まとめ

物を買う節税は、その期の税金を減らす効果はありますが、結果として、余計な物を買ったり、買い替えのサイクルが早くなり、無駄遣いにつながりやすくなったりします。

その期だけ凄く利益が出たとか、来期は利益が見込めないとかいった理由があれば別ですが、毎年同じように利益が出ることが予想される場合は、物を買っての節税はあまり効果がないと思うようにしましょう。

翌期に買ったとしても税金を減らす効果は変わりません。

むしろ、無駄遣いにつながる可能性が高くなり、残るお金が減ってしまいます。

 

※今回の記事で言う経費の前倒し計上とは、あくまでも税法で認められる範囲内のものを言います。

本来の税法で、翌期の経費にすべきものを前倒しして当期に計上するということではありません。

当たり前のことですが、それでは脱税になってしまいます。

 

【編集後記】

昨日は、わたしが最初に勤めていた税理士法人で一緒だった人と、6~7年ぶりに会いました。

その人は、今でも当時の税理士法人で働いています。

わたしは、5カ所の税理士事務所勤務を経て独立をしました。

どちらが良いとか悪いとかの話ではなく、色々な生き方があるからいいんだと思います。

 

今日のお昼は、佐倉市にあるラーメン屋「丹治」さんで、冷やし鯛干しラーメンを食べました。

わたしの中で、丹治さんと言えば冷やし中華なのですが、冷やし鯛干しラーメンも美味しかったです。


 

千葉市、四街道市、佐倉市を中心に地域密着を目指している「渡邉ともお税理士事務所」のホームページはこちら

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。