所得税では、総合課税と分離課税を知っておくといい

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所得税には「総合課税」される所得と「分離課税」される所得があります。

所得税は所得の種類をわけて計算することまでは知っていても、総合課税と分離課税まで知っている人は少ないのではないでしょうか。

まずは所得の種類ごとに計算する

今言ったように、所得税では所得の種類ごとに所得の金額を計算します。

所得の種類には、事業所得、不動産所得、給与所得、一時所得、雑所得、譲渡所得、退職所得などがあります。

これらは、そろぞれ別々に所得の金額を計算します。

事業所得は、事業所得の売上から経費を差し引いて事業所得の金額を計算します。

不動産所得は、不動産所得の売上から経費を差し引いて不動産所得の金額を計算します。

給与所得については、給与の収入金額から一定の金額を差し引いて給与所得の金額を計算します。

土地を売却した場合は、土地の売却価格から購入価格を差し引いて、譲渡所得の金額を計算します。

このように、所得の金額を計算するうえでは、所得ごとにそれぞれ計算します。

所得の金額を合計する

所得ごとに別々に計算した後に、それぞれの金額を合算します。

合算するのは、事業所得、不動産所得、給与所得、一時所得、雑所得などです。

例えば、事業所得が500万円、不動産所得が200万円、雑所得が50万円あった場合、これらの所得金額の合計は750万円ということになります。

合算した後の金額に税率をかけて税額を求めます。

このように、他の所得と合算して税額を求めることを総合課税と言います。

対して、土地を売却したことによる所得は、他の所得と合算することはありません。

そのまま税率をかけます。

このように、他の所得とは合算しないで税額を求めることを分離課税と言います。

総合課税は超過累進税率

総合課税されるものは、超過累進税率により課税されますので、所得が高ければ高いほど税率が高くなります。

以下の2つのケースを見てみます。所得控除は100万円とします。

所得税のみの計算です(復興特別所得税や住民税は考慮していません)。

ケース1 事業所得2,000万円 雑所得50万円の場合

事業所得と雑所得を合算した2,050万円から所得控除100万円を控除した1,950万円に対して税率をかけます。

課税所得金額1,950万円に対する税率は40%です。

事業所得の金額だけでなく、雑所得の金額に対しても40%の税率が適用されます。

ケース2 事業所得350万円 雑所得50万円の場合

事業所得と雑所得を合算した400万円から所得控除100万円を控除した300万円に対して税率を掛けます。

課税所得金額300万円に対する税率は10%です。

事業所得の金額だけでなく、雑所得の金額に対しても10%の税率が適用されます。

所得が高ければ高いほど税率が高くなるということは知っている人も多いと思います。

雑所得や一時所得が総合課税されることを知っておかないと、たまたま他の所得が発生したときにびっくりすることになります。

ケース2では、雑所得に対して10%の税率ですから、仕方ないかなと思うかもしれません。

しかし、ケース1ではたまたま発生した雑所得に対して40%もの税率が適用されてしまいます。

総合課税の仕組みを知っていれば、驚かなくて済みます。

分離課税の税率

総合課税が合算して超過累進税率が適用されるのに対して、分離課税は一律の税率が適用されるものが多いです。

土地の売却、上場株式の売却などは所得の金額が大きくても税率が一律です。

先ほどと同じような2つのケースを見てみます。

所得控除は100万円として、所得税のみについて考えます。

土地は5年超所有し、長期譲渡所得に該当するものとします。

ケース1 事業所得2,000万円 土地の売却による所得1,000万円の場合

事業所得の金額2,000万円から所得控除100万円を控除すると、1,900万円になります。

課税所得金額1,900万円に適用される税率は40%です。

土地の売却にかかる所得は、事業所得と合算せずに、税率15%が適用されます。

ケース2 事業所得350万円 土地の売却による所得1,000万円の場合

事業所得の金額350万円から所得控除100万円を控除すると、250万円になります。

課税所得金額250万円に適用される税率は10%です。

土地の売却にかかる所得は事業所得と合算せずに、税率15%が適用されます。

このように、土地の売却にかかる所得は分離課税となり、他の所得と合算されずに税金が計算されるので、他の所得がいくらあろうとも、土地の売却にかかる税率は同じ税率になります。

 

分離課税される所得の中にも、超過累進課税が適用されるものもあります。

退職所得が該当します。

超過累進税率が適用されると言っても、それはあくまでも退職所得の中での話です。

課税退職所得金額が300万円であれば、10%の税率が適用されますし、課税退職金額が2,000万円であれば、40%の税率が適用されます。

この他に、事業所得があったとしても、事業所得とは合算されません。

分離課税ではあるけれど、退職所得の金額が大きければ大きいほど税率は高くなります。

逆に言うと、いくら退職金を多くもらったとしても、総合課税される所得が少なければ、総合課税されるものにかかる税率は低くなります。

まとめ

所得税は、所得の種類ごとに所得の金額を計算し、他の所得と合算して税率をかけるものもあれば、他の所得とは合算しないで税率をかけるものもあります。

このことがわかっていると、たまたま雑所得や土地の売却にかかる所得が発生したときに、税金がどうなるのかが理解しやすいです。

総合課税される税率が高い人が、たまたま他の総合課税される所得が発生した場合は、他の所得に対しても高い税率が適用されることは覚えておきましょう。

ただし、総合課税の税率が高い人でも、土地の売却にかかる所得のように分離課税される所得がたまたま発生した場合は、総合課税とは合算しませんので、他の所得の影響を受けることはありません。

また、退職所得のように分離課税でありながら、超過累進税率が適用されるものもあります。

完璧に理解するのは難しいので、まずは、総合課税されるものと分離課税されるものがあるということを覚えておくだけでもいいと思います。

【編集後記】

夏の甲子園が開催されています。

最近の高校生のピッチャーは球速が早くて驚きます。

わたしが高校生だった頃は、高校生で球速140kmを投げるピッチャーはほとんどいなかったです。

今では、甲子園に出てくるようなピッチャーでは140kmを投げるのは珍しくありません。

しかも、バッターも140kmの球を普通に打ちます。

筋トレや器具、道具の進化などでレベルが上がっているということですね。


 

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。