独立後に勤務時代よりも多く稼ぐにはいくら稼げばいいのか~1人会社の社長編~

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前回個人事業主編を書いてから、少し日があいてしまいましたが、今回は1人会社の社長編です。

従業員を雇う場合は、自分の給料よりも大切なことが多くあるので、1人会社を前提として書くことにします。

個人事業主編の記事はこちら

独立後に勤務時代よりも多く稼ぐにはいくら稼げばいいのか~個人事業主編~

2018.10.23

目安はもちろん役員報酬

1人社長の場合の目安はわかりやすく、独立前の給与と、独立後の役員報酬を比較することが大きな目安となります。

勤務時代に給与収入が年500万円であれば、独立後に役員報酬を年500万円超もらうと、勤務時代の稼ぎを超えたという1つの目安になります。

1人社長の場合、独立をしたと言っても、自分の収入が会社からもらう給料であることに変わりはありません。

給与と役員報酬では名前が違いますが、中身は同じものです。

税金の計算も同じです。

法人税の取扱などで違う面もありますが、いくら稼いだかという点では変わりありません。

会社の利益も自分の稼ぎと言える

1人社長の場合は、会社の利益も自分の稼ぎと同じようなものです。

自分と会社は別人格ですが、株主も自分1人であれば、会社のものも自分のものと言って差し支えありません。

借入金などがある場合は、ちょっと話が変わってきますが。

役員報酬がなかったとした場合の会社の利益が1,000万円だったとします。

この場合で、役員報酬を500万円にすれば、会社の利益は500万円になりますし、役員報酬を700万円にすれば、会社の利益は300万円になります。

実際は役員報酬の額によって社会保険料が変わってきますが、ここでは、社会保険料の増減を考慮しないこととします。

前者と後者で自分の稼ぎは違うでしょうか。

後者の方が役員報酬が200万円多いから、200万円多く稼いだと言えるでしょうか。

通常は、そうは考えません。

1人の会社であれば、役員報酬も会社の利益も自分が稼いだ金額ですから、この場合の稼ぎは同じと考えるのが普通です。

ですから、役員報酬を0とした場合の会社の利益が自分の稼いだ金額になります。

社宅や出張手当などで節税をしている場合

1人会社で、社長が賃貸住宅に住んでいる場合、あるいは出張が多い場合には、社宅を利用したり、出張手当を計上することで節税になることがあります。

仮に賃貸住宅の家賃が15万円だったとします。

この場合で、社宅でなければ、自分がもらった役員報酬の中から家賃15万円を支払います。

賃貸住宅を会社で借りて社宅として利用すると、会社が家賃15万円を支払います。

本人も一定金額以上の負担をする必要がありますが、ここでは3万円を負担するとします。

この場合、実質的に12万円は会社が家賃を支払うことになります。

社宅の場合と、そうでない場合では、この会社負担の家賃分の差が生じます。

社宅の場合に、自分の稼ぎを考えた場合、社宅の会社負担分の家賃を加えた方が正確です。

先ほどの例で言うと、144万円を自分の稼ぎにプラスします。

出張手当も同じように考えることができます。

しかし、出張手当の場合、実費相当額を負担するという意味合いがあるので、出張手当の額が全て自分の稼ぎになる訳ではありません。

出張手当を1万円もらって、実費としては7,000円しか支払っていないのであれば、3,000円は自分の稼ぎとして計算してもいいでしょう。

出張手当は厳密に計算することは難しいので考慮しないとしても、社宅の分は考慮した方が自分の稼ぎを正確に知ることができます。

退職金と公的年金

退職金と公的年金についても考慮した方がいいでしょう。

退職金については、ちょっと難しいです。

自分が引退するときに退職金をもらう場合、会社は利益を長年にわたって内部に留保して、貯まったお金を最後に退職金として支払います。

先ほどの考えで言うと、会社の利益はすでに自分の稼ぎとして計算しています。

ですから、退職金はないものとして考えなくてはいけません。

退職金をないものとして考えるということは、独立前の退職金分を多く稼ぐ必要があるということです。

しかし、退職金の原資を生命保険などを使って準備をする場合は、経費になった分の生命保険料は、退職金として計算することができます。

年金については、もともとが会社員であれば、どちらも厚生年金ですから、基本的には変わりません。

しかし、役員報酬を少なめに設定すると、将来貰える年金の額が減少してしまいます。

小規模企業共済や個人型確定拠出年金を利用して自分の退職金を準備する場合は、自分の稼ぎの計算には影響がありません。

自分がもらった役員報酬を積み立てて将来のお金の準備をしているだけです。

まとめ

個人事業主よりは、1人社長の方が、独立前と独立後の稼ぎを比較しやすいかもしれません。

所得区分としては同じ給与所得ですから、比較が簡単です。

そこに、会社の利益と社宅の場合の会社負担分の家賃を加算すれば、大まかの比較ができます。

退職金については、独立後は基本的にはその分多く稼がなくてはいけません。

公的年金については、会社員から独立して1人社長になった場合は、厚生年金であることに変わりはありません。

まとめると、役員報酬の額と会社の利益、社宅家賃の会社負担分を合わせた額を、元の会社の給与収入と比較することになります。

退職金分を考慮する場合は、そこに年100万円くらい多く稼げばいいのではないでしょうか。

【編集後記】

最近税理士業務以外の周辺知識の大切さを痛感しています。

社会保険労務士や司法書士の業務でも、周辺知識としては知っておいた方がいいことは山ほどあります。

この点は、税理士業務を営んでいる限り続く課題なんだろうなと思います。

 

アイキャッチ画像は、八千代市にある山形ラーメンのお店「中華そば 金ちゃん」の特製辛みそラーメンです。

美味しかったですが、辛みそを全部とくと結構辛いです。辛いのがそれほど得意でない人は少しずつといて自分の好みの辛さにするのがいいと思います。

ちなみに、辛みそをとく前のスープは全く辛くありません(当たり前ですね)。

チャーシューはとても美味しかったです。


 

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。